ワインと音楽(その4)
コンサートの聴衆をワイン周辺に例える前に、ワインと音楽の一般的なとらえ方の違いを見てみたい。
ワインは文化であると説かれることがある。確かに歴史の積み重ねの結果を文化とするならば、それに違いない。
しかし、アルコール飲料であることから、五感だけで理解できない何か得体の知れない刹那的で享楽的なものを含むとも考えられるため、文化としての本質を備えているか否かも問われるところである。
文化としての真贋、それはワインに関わる我々の姿勢にも根ざすものだ。
音楽、ワイン双方の世界にコンクールなるものが存在する。
それらは、能動的に出場(出品)する演奏者(モノ)の価値を有識者によって評価するものである。
しかし、受動的に評価される場合がある。
音楽の場合なら、ジャケットに掲載されている論評であり、TV番組等で放送される解説である。
ワインももちろん評価される。ワインジャーナリストと評する人々によって。
しかし、ここには大きな違いがある。
音楽とくにクラシックの論評において、作曲家やその曲目、また指揮者や演奏者それぞれに点数をつけて評価することは決してない。
ワインはどうか。既知のとおりである。
嗜好品でありアルコール飲料であるから、点数をつけて評価しようとするのか。
クラシック音楽ほど格調高くないと思われるからか。
ワインは文化であると説く人々の真贋を問いたい。 店主 那須