ワインは水(1)
ワインの源は黒海及びチグリス・ユーフラテス河周辺に遡ります。そこに住まう砂漠の民の言わば「水」代わりでした。
羊のローストと、果皮もそのまま含まれた渋い赤ワインは脂分をタンニンで中和するという意味で、自然発生の誠に理にかなったマリアージュでした。
ヨーロッパ及び中東の肉食文化では、この起源から、ワインは食事とともにある「水」と言っても過言ではありません。
ウイスキーやブランデー、ジン等と言った酔う為の蒸留酒とは全く異なる、食事とともにある水代わりのお酒と言うことが出来ます。
現在ではワインの飲酒量が低下しているフランスですが、1ℓの水(ミネラルウォーター)とワインの価格を比べると、安価なテーブルワインより、はるかにミネラルウォーターのほうが高いということがこの事をよく表しています。
それにしても、ワインの源のはずのチグリス・ユーフラテス河周辺の現在の国イラクでは、その宗教の為、ワインが全く飲まれていないと言うのは、皮肉なものです。 店主 那須