"Y "de Chateau d'yquem 1988
博多で遊ぶ機会を得た。
ふぐ、とんこつラーメン、屋台めしなど、旨いもの尽くしの街である。
また、金印の志賀島、太宰府、元寇の土塁、水城、大野城とこれまた歴男くんにとってもたまらない場所である。
太宰府天満宮、本殿のご神体前の鏡が素晴らしい。拝殿に近づくにつれ、鏡の存在に気がつくものの、まさか自分の姿が鏡に映るとは思ってもいなかった。
管公伝記にある水鏡由来の伝承なのか定かではない。
自分の姿が神殿に映し出される仕組みの神社は他に類を見ない。
清廉潔白を良しとする管公ならではの、遥拝時に自らの心の潔白を明かして後の、拝殿での参拝を意味するのか。
いづれにしてもその静けさと清廉さをたたえた境内は、さすがに智の大神の祠である。
夜の博多は薬院に繰り出し、知己であるS氏に連れられ、グリルKにうかがう。
ドンペリ1999の若々しい美味しさを楽しみ、いよいよ1988"Y "de Chateau d'yqueme、熟したカリンや澄ましバター、アカシアよりやや強いソヨゴにも似た蜂蜜、わずかなヨード等の複雑な香りたち。アタックは柔らかく、展開では心地よい乳酸を伴った円く適度なアルコールがまるでカリンのバターソテー蜂蜜のソースといった膨らみをみせる。
ケベック産リードヴォーのクラシックなフリカッセと最高のマリアージュ。
その後は、メインのイベリコ豚。じっくり炭火で低温調理の逸品とMUSIGNY1994 Jacques-Frédéric Mugnier。これまた素晴らしい。
さて、恒例のブラインド。
今回は白。
色調僅かに黄色を帯びた黄金。
香りは静置では麦芽糖の飴様、スワリング後スペアミントと
干草、アカシア蜂蜜。
アタックはやや穏やか、ミネラルはシリカが支配的で石灰も。
展開はややスリム。ミネラルと酸が強く感じられる。円いアルコールは存在感あるものの果汁の濃度は平均よりやや濃い。
ヴィンテージはここまでで1992と判断。
余韻で、舌の奥両サイドに残る鉄分から
Corton-Charlemagne 1992 Georges Roumierto判断。
ヴィンテージは当たり。が答は、
1992 Chevalier-Montrachet Marc Colin。
博多の夜は更けていった。